当会創立100周年記念の財団史が2020年11月に刊行されました。100年の長きにわたる財団の歴史の経過が、我が国のフィランソロピー史の変遷とともにおわかりいただけます。2020年、公益新法10年目を迎え、会の歴史に新しいぺージを開くにあたり今後、時代の要請に応える道を歩んでまいります。
公益財団法人原田積善会は、大正9年(1920年)7月、多年にわたり財界で活躍してきた原田二郎が「天下の富は一家の私すべきものではない」との信念から社会福祉に貢献すべく自己の全財産を投入して創設した財団です。それから約100年、助成事業を福祉分野、学芸・科学分野、災害支援、地方創生の4つを柱に継続して幅広く行っています。
なお新公益法人制度の施行に伴い、平成23年(2011年)1月からは公益財団法人として新しいスタートを切っております。
公益財団法人原田積善会
〒158-0082
東京都世田谷区等々力3-33-3
TEL03-3701-0425
FAX03-3701-2111
(公財)原田積善会
理事長 稲垣 裕志
原田積善会は1920年(大正9年)に三重県松阪市出身の財界人原田二郎により創設されました。本年(2020年)は創設100周年に当たります。原田二郎は、大阪鴻池財閥を再建させるなど実業家として東京や大阪で活躍し財を成したのち、晩年全財産をもって当財団を創設しました。皆さんは、朝ドラ「あさが来た」はご覧になりましたか。主人公広岡浅子(本名)は京都三井家の生まれで大阪の両替商加島屋に嫁ぐと家業を発展させ、大同生命を創設する一方、日本女子大を創設する社会事業家でもありました。二人は同い年の生まれ、同じ時期に大阪で金融業を立て直し、やがて社会事業に貢献しました。明治維新以降に国家が発展する中、生じた社会の歪みやセーフティネットの不足を見過ごすことができなかったのでしょう。
現在はどうでしょうか。豊かになった社会ですが、格差拡大による子どもの貧困や貧困の連鎖、相次ぐ児童虐待の発生といった社会的課題は山積しています。国の借金が積みあがる中、こういった課題への財政的支援の増加は望めません。今こそ民間による共助が求められており、またその実現に創意工夫が必要になっていると思います。
当会は助成団体として規模は決して大きくはありませんので、行政と民間の狭間にあるニッチなニーズを捉えて、スピードと柔軟性をもって、様々な実行団体への資金支援を行うよう努力しています。長年培った既往助成先のネットワークや社会福祉協議会や共同募金会からのご紹介に加え、近年はホームページ経由で直接の助成要請も多く寄せられます。また、当会は資金の原資が創始者の寄附財産の運用により賄われておりますから、今後は資金調達の多様化も課題と認識しております。
本年は当会が新法で公益法人になって10年目の節目でもあります。この間様々な場所で議論されてきた公益3原則の制約や、寄附税制の問題などが緩和されることを望みます。そして何より私どもが時代に即した助成に努めることで、次の100年に残る助成財団になりたいと考えております。